第11章 わざと彼に罪悪感を抱かせる

南坂海乃は、自分がどうやって病院を出たのか、覚えていなかった。

受付もしていない。傷の手当てもしていない。

黒谷優が同行のボディーガードを全員連れて行ってしまい、運転手まで「佐藤詩乃に熱いお粥を買ってくる」と慌ただしく走り去ったからだ。南坂海乃はポケットを探ったが、残っていたのはスマホだけ。現金は一円もなかった。

昔なら、きっと惨めで、悔しくて――黒谷優の顔に泥を塗ったんじゃないか、と泣きたくなっただろう。けれど今は、不思議なほど心が動かなかった。

スマホの配車アプリで車を呼んだ。

車が別荘の門前に着いた頃には、もう夜十一時を回っていた。

灯りもつけないまま、重い傷脚を引きずって...

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